梁塵日記

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zoom RSS レミング2017

<<   作成日時 : 2017/07/01 22:04   >>

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「レミング」の初演は1979年5月の晴海展示会会場。確かこの会場の片隅で寺山さんとすれ違った。周りには誰もいない。向こうから寺山さんが歩いて来た。一瞬のすれ違いのなんと緊張したこと。
 今回、万有引力版として17年ぶりに再演される「レミング」は、副題を「世界の涯まで連れてって」とした初演ではなく、主人公を「ワン」「ツー」二人にした「壁抜け男」の副題があるバージョン。
 ある日、町中の壁という壁が消滅したことから物語は始まる。壁の消失によって人々の内面が曝される。ワンとツーの住むアパートのお隣りさん、看護士と医者の「夫婦」の夜ごとの営みも見えてしまう。もっとも、それは精神病院の開放治療であり、看護士と医者は常に立場を変え続ける。
 外面を遮るものであったはずの壁がいつしか個の内面を隠蔽するものに変わっていく。壁とは国家、制度の隠喩なのか。
 その壁が消えた時、人々の内面はどうなっていくのか。
 ワンが四畳半の畳の下に住まわせる異形の母親が夢見た世界は、アフリカ狩猟家の闖入によって決壊する。「母親の夢」の中に紛れ込んできたもうひとつの夢。夢の中の夢。夢で支配したと思っていたのがもう一人の誰かに夢みられているだけに過ぎないとしたら。
  人々が個に閉じこもり、無数の「壁」を作るのは、1980年代よりも拡大している。漫画喫茶、リアルなテレビゲーム、スマホ…仮想の壁の中に入り込んだきり、そこを抜け出せない人々。
 寺山が生きていたら、その新たな壁の氾濫に対して、どんなメッセージを送っただろう。
 「先手必勝。相手に夢を見られる前にこっちが夢を見ること」
 劇中でワンの母親が叫ぶ。
 壁の消滅と夢の侵食。
 いったん消えたはずの壁が再び現れ、増速していくシーンが天井桟敷オリジナルで最も震撼した場面だった。

 壁という壁の隙間に折り重なるように、まるで出口を見つけられないまま、びっしりと死んでいるネズミの群れ。
 海に向かって粛々と身を投じるレミングの群れはまさしく今の我々の姿だ。

 38年前に書かれた寺山修司の「レミング」は日本と日本人の未来を予言していた。
 ラストシーンのワンの独白、アジテーションに身震いする。

「なあに、お前らを消すのはたやすいことなんだ。ただ、目を閉じさえすりゃいい。ただ、ちょっと目を閉じるだけで世界を爆発させる力が得られる。だが、目を閉じて夢が見られるか。……あんたたちは歩きながら水蒸気となって立ち上って消えていくだけさ。思いだしてくれ、俺は出口、俺はあんたの事実。そして俺はあんたの後ろ姿だってことを。

万有引力「レミング」は2日まで座・高円寺1。
http://www.amazon.co.jp/%E5%AF%BA%E5%B1%B1%E4%BF%AE%E5%8F%B8%E3%81%AB%E6%84%9B%E3%81%95%E3%82%8C%E3%81%9F%E5%A5%B3%E5%84%AA-%E6%BC%94%E5%8A%87%E5%AE%9F%E9%A8%93%E5%AE%A4%E2%97%8E%E5%A4%A9%E4%BA%95%E6%A3%A7%E6%95%B7%E3%81%AE%E5%90%8D%E8%8F%AF%E3%83%BB%E6%96%B0%E9%AB%98%E3%81%91%E3%81%84%E5%AD%90%E4%BC%9D-%E5%B1%B1%E7%94%B0-%E5%8B%9D%E4%BB%81/dp/4309272169/ref=gfix-ews-form

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