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zoom RSS チーム・クレセント「お菓子放浪記」

<<   作成日時 : 2017/04/12 00:24   >>

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14時、東池袋・あうるすぽっとでチーム・クレセント「お菓子放浪記」(原作=西村滋、脚本・作詞・演出=木島恭)

 事前に下調べをしなかったので、予断なしの観劇。タイトルから受ける甘やかな印象とは正反対、今の時代への異議申し立てと「反戦」の熱い思いに突き動かされたような芝居だった。

 主人公シゲル(絲木建汰)は「戦争孤児」。戦争は災害ではなく人間が起こすものだから「戦災孤児」とは言わず「戦争孤児」なのだという作者の強い思いがその言葉に込められている。

 彼は何度も孤児院から脱走を繰り返すうち、空腹に耐えきれずパン屋の店先から菓子パンをひとつ盗んだところを遠山刑事(川端槇二)に捕まる。遠山は人情味ある刑事。それ以上シゲルが非行に走らないように説諭する。取調室で遠山がくれた一杯のお湯はシゲルにとって生涯忘れられない味となる。
 感化院に送られたシゲルを待ち受けていたのは軍国主義者の権化で殴る蹴るのスパルタ指導の日比野(岩田翼)。
 惨めな日々を救ってくれたのが優しい富永先生であり、彼女が歌ってくれる「お菓子と娘」だった。富永先生はシゲルに言う。
「今の世の中に美しいお菓子がないのならあなたがそのお菓子になりなさい。人を励ましたり慰めたり生きていくことを美味しいものにするお菓子になるのよ」

 その言葉を胸に懸命に生きるシゲル。やがて敗戦。上野の地下道でキー坊(小宮明日翔)という戦争孤児と知り合うが、戦火で母(荻窪えき)を失ったキー坊の心は深く傷つき、生きるためには手段を選ばない無法を繰り返す。医者の一家に請われて養子に入ったキー坊だが、その心の闇は深い。
 放浪するシゲルとキー坊の心の平和、そしてこの国の本当の平和はいつ訪れるのか…。

 シゲルは作者・西村滋の実体験を投影している。天涯孤独の生活の中で、唯一心の拠り所とした富永先生の一言に励まされ、転落することを免れた。
「本当のこととニセモノの間でもがき苦しむシゲルの姿。
 成長していくシゲルにとって、「お菓子」とは富永先生の優しさの味であり、平和の味であり、世の中に氾濫するニセモノを見分けるための「ホンモノ」の味なのだ。

 焼夷弾で焼け落ちた家の下敷きになった母親を必死に助けようとするキー坊の姿は「はだしのゲン」と重なる。木島恭は木山事務所で「ゲン」の演出をしたのだった。
 登場人物たちが主題歌を歌い始めるファーストシーンですでに涙腺が緩み、シゲルとキー坊に過酷な運命が描かれる後半はもうボロ泣き状態。
 舞台の狂言回しであり舞台の中で大人になったシゲルを演じる飛野悟志が抜群の存在感と味のある歌。人情味ある遠山刑事の川端も笑いを封印し、抑えた演技で場を引き締める。戦後は軍国主義者から平和主義者に180度転身する冷酷無比な日比野を演じるのは昴の貴公子・岩田。美青年だけにその酷薄さが引き立つ。
 高橋慶吉の音楽がまたいい。おぼえやすく耳に心地良いメロディー。これぞ音楽劇。

 少し前なら、戦争を描いた作品はある意味自分たちの皮膚感覚とは遠いものだったが、昨今の政治状況を見ていると、芝居の中にとどまらない、明日にでも同じ過ちを繰り返すのではないかという恐怖がひしひしと伝わってくる舞台だった。
 もはや戦争は過去のものではない。近未来の恐怖といえる。
 その意味でも、シゲルが言う「本物とニセモノ」をきちんと見分けることが大事。
 ニセモノの中にいると感覚が麻痺してしまうから。

 終演後、川端さん、荻窪えきさん、小林あやさんらに挨拶。戦後、シゲルがほのかに思いを寄せる女、春をひさぐ絹子役があやさん。
 そうそう、大方斐紗子さんの歌がもう素晴らしいの一言。フェードアウトせずに最後まで聴きたかったな。
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