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zoom RSS 高橋洋子著「のっぴき庵」

<<   作成日時 : 2017/04/11 01:22   >>

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先日女優の高橋洋子さんからいただいた「のっぴき庵」(講談社刊)が抜群に面白い。すぐに高橋さんに礼状を出した。
 久しぶりに小説らしい小説を読んだ気分。
 伊豆にある俳優専門、それも売れなかった俳優たちの老人ホーム「のっぴき庵」を舞台にしたオムニバス。

 経営者の富夫は昔、ラーメンブームで一山当て、映画撮影所近辺で長年商売していた縁で、リタイアした脇役たちのホーム作りに残りの人生をかけている。

 ホームには東映の斬られ役専門の役者とか、お姫様女優として嘱望されたが売れないまま終わった女優ら10人が住んでいる。そこに英(はなぶさ)幸二が入ってくることになる。彼は昔スターだった男。今はかつての栄耀栄華もなく、尾羽うち枯らしての入居。
 だが、住人たちは英に対して複雑な思いが…。
 
 このオムニバスの中では「まぼろしの馬」が好き。
 主人公は無骨な脇役俳優・志水甲。競馬場で知り合った男に気に入られ、彼の「妹」依子と暮らし始めるが…というお話。だいたいの想像はつくが小説はディティール。依子が実に魅力的な女性に描かれているだけに甲との顛末が哀愁を帯びる。

 「それでも幕は開く」は英のファンだというホテル経営者・村田が英の歌謡ショーを依頼する話。英は乗り気でない。富夫はこの話を潰したくなくて、英主演の芝居公演はどうかと持ちかけるが、村田は「芝居は重くていけねえ」とにべもない。「暗いし長いし小難しいセリフ言ってさ。どうして芝居ってああ芸術だって顔するんだ。あれは演じてる人間が一番楽しいんじゃないか。自己陶酔してるっていう…」

 何とか食い下がるが、村田がまた言う。

「小劇団に入ってる甥っ子に頼まれて見たことあるけど、、あれは演じる側が満足するだけよ。それを観る側が応援して、拍手して…口ではよかった、よかったって、おざなりに褒めて。それが演劇界のしきたりらしいな。こいつら何だって、思ったけどね。温泉町に演劇だの芸術だのそんなもん一切いらないの」

 まあ、これが世間の芝居を見ない人の多数意見なのだろう。

 さて、この温泉街でロートルたちが芝居公演を打てるのか。それは小説で。

 語り口、隠喩…いかにも小説らしい小説で、ものの数時間でさくっと読めてしまった。小説を書くのは才能だな。

 高橋洋子さんは文学座研究生からいきなりスクリーン主役デビューしたため舞台には出たことがないのだという。64歳。今年公開の映画「八重子のハミング」で認知症の老女を演じているとのこと。
 1972年の映画「旅の重さ」の瑞々しい少女が認知症の女性を…。月日は流れた。
 今、倉本聰の連続ドラマ「やすらぎの郷」が話題を呼んでいる。テーマは同じ。ノエル・カワードの「出番を待ちながら」のように昔から同じテーマの芝居や映画はある。偶然の一致というべき。
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