花輪莞爾「悪夢小劇場」

<本日の一冊>

フランス文学者にして、芥川賞候補二回の作家・花輪莞爾(はなわ・かんじ=1936-)。大岡昇平や別役実が激賞した巧緻な筆致で日常生活の陥し穴を。「悪夢小劇場」が出会いでグイっと持っていかれた。「悪夢小劇場 海が呑む」「悪夢五十一夜」と貪り読んだ。

運転免許初心者の女性歯科医師がデパートの買い物帰りに道を見失い、2日間も東京近郊をさまよう「ちりじごく」は、首都高を横浜に向かっているつもりで、いつのまにか千葉方面に引き返した事のある当方にとって身につまされる話。

小型犬だと言われて飼ったブルドッグが次第に巨大化し、夫婦の食卓で共に食事を食べるようになり、しかもそのイビキが亡父と似てくるという「死者の鼾き」、津波の恐怖を描く「海が呑む」など味わい深い極上の作品集。
短編の名手・阿刀田高にフランス文学の香りを上乗せしたような才気はほかに比べる者がない。

最新作は大病に苦しむ愛妻に捧げる「やさしさのゆくえ」(2020年)

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