NHK銀河ドラマ「望郷の街」

 本棚に置いてあるカセットテープをふと手にした。1975年頃、よく市民集会に行って講演を録音したもので、そのテープ。「鈴木武樹」と書いてあるので、久しぶりに聴いてみたいと思って再生したら、なんとその上からテレビドラマが上書きされていた。

 矢野顕子のテーマソングだったので、それを手がかりに検索したら、NHK銀河ドラマ「望郷の街」(1977年8月22日~9月2日放送)だった。

 テープに録音したコトアなど、すっかり忘れていた。当時はまだビデオレコーダーはない時代。好きなドラマは声だけを録音していたのだ。


 主演は風間杜夫。これがNHKドラマの初めての主役だったという。

 定食屋でバイトする予備校生の守(風間)と彼が心を寄せる舞台の新人女優・まゆみ(藤岡麻里)の恋心と、守が入った万年最下位の草ラグビーチームのキャプテン(高岡健二)らの交流を描いた青春ドラマ。

 脚本はなんと笠原和夫だ。

 録音したくらいだから、日記にも確か書いた記憶があると思って探したが、あった。
1977年9月2日の日記。最終回の日だ。
以下、当時の日記。


 守(風間杜夫)は田舎に帰った洋子が婚約したことを知り、幼なじみにそのことを鋭く責められる。

「どうして洋子と一緒に帰らなかったんだ。洋子はお前のことを好きだったんだぞ。東京がそんなにいいか。いつまでも丼に飯を持って生活していけるわけないだろう。田舎に帰ろう」

 その夜、守はいつもの喫茶店で、予備校からずっと一緒のまゆみにこう言う。
「まゆみ、一緒に旅に出ないか」
「旅って、あの切符を買って…?」
「もちろんだよ。日本中を汽車に乗って、京都も四国も旅して歩くんだよ」
「私、行かないわ」
「どうして?」
「守くんとは東京で会ってい方がいいから」
「どうしただ、まゆみ」
「うーん、わからないかなぁ。私は守くんとずっと友達でいたいの…」
「……」


 守は酒を飲み、その夜は酔いつぶれてしまう。様子を見に行ったまゆみが下宿に担ぎ込む。

 次の日の朝、ガラクターズ最後の試合である。この試合に負ければチームを解散することになっている。守の部屋の様子がおかしいと騒ぎ始めたのはもう試合が始まる直前だった。部屋には鍵がかけられ、窓も締め切り、中でうめいているのが聞こえる。
 まゆみの駆けつける。必死にドアを開けようとするが無理である。みんなが騒いでる時、京都から高岡健二がかけつける。そしてドアのドアをこじ開け、守にバケツの水をかぶせる。
「守、立て! お前はだらしのない意気地のない奴だ。今すぐ自分の道を選べ。田舎に帰るか、俺たちと来て試合をするか」


 試合はガラクターズの負けとなり、その夜解散式が行われることとなった。
 その晩、店に行った守にまゆみからの手紙が残されていた。
「守くん。私は来週ヨーロッパへ劇団と一緒に行くことになりました。突然のことでびっくりしています。私は今までずいぶん守くんに意地悪だったでしょうね。でも本当は守くんが好きだった。守くんが好きだったから意地悪したのかも…。予備校の時からあなたとはケンカばかりしてきたけど、これからも多分変わらないでしょう。あなたとはいつまでもいい友達でいたいから」


 脚本は笠原和夫。影の主役が別のところに隠されていたのは今までにないタイプのドラマだ。集団ドラマのようでもあるが、彼の意図には守とまゆみの関係に意外な重点を置いていたのかもしれない。それは主人公の三浪の守と演劇志望のまゆみの乾いた友情関係を軸としているのだ。

 もしたからしたら笠原和夫自身の体験から生まれたものではないかという推論も成り立つ。
 あまりにも通常のドラマの類型的な人間関係から超えている守とまゆみの関係だから。実際の体験か、モデルがいるとしか思えない。それとも演出の不備が不思議な逆効果を招いたのかもしれない。どっちにしろこのドラマの守とまゆみという人間には深い共鳴を感じずにはいられない。



 俺が東京を好きなのは、きれいに着飾った女たちや高いビルディング、金を出せば何でもできるいろんな設備、そんな華やいだものじゃない。
 コンクリートで囲まれた埃だらけの街角でふと触れ合う人と人との小さな心の触れ合いがあるからなんだ。
 
 この広い都会の片隅で昨日まで知らなかった者同士、つい5分前まで他人だった見知らぬもの同士が次の瞬間にはどこかで、ささやかな心の触れ合いを見つける。そんな乾いたアスファルトの上の小さな水たまりのような生活が好きなんだ。

 明日何かあるかもしれない。明日誰かと会うかもしれないという漠然とした期待。それが確かにあるから、いつまでも気にかかるんだ都会の街は。

 明日何があるか、明後日誰と会うかわかっていたらこれほどつまらない生活はない。明日何が起こるか分からないから楽しいのだ人間は…。
 そうは言っても、他人の犠牲の上にあぐらをかいて能書きたれてるこの俺と言う存在は…。


 夕方、Rと吉祥寺に行く。「OUTBACK」でジャズを聴く。それから下北沢に。
パチンコ店で待ってるうちに彼がカセットデッキを抱えてくる。
 ソニーのTCーK4。5万9800円を4万円で買う。
 Bに見つかると気まずい思いをすることになる。なぜなら彼から買ったオープンリールの返済がまだ済んで
いないから。
 夜中早速試してみる。自分のカセットデッキを持てたという喜びでいっぱいだ。

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この記事へのコメント

藤岡麻里さん
2019年02月04日 21:06
ずっと見つからないかと思っていたこのドラマ。当時高3で難しいことは全く分からなかったけど、藤岡麻里さんに強い憧れを抱きました。そのような内容だったのですね。ありがとうございました!
鮎川
2019年02月17日 19:59
ご感想ありがとうございます。

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