梁塵日記

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zoom RSS 劇団昴「ふくろう」

<<   作成日時 : 2017/04/18 17:39   >>

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 19時、大山・PIT昴で劇団昴「ふくろう」(原作・シナリオ=新藤兼人、演出=北村総一朗)が抜群に面白い。
 久しぶりに腹の底から突き上げてくる笑いをこらえることができず、何度も声をあげて笑ってしまった。泣かせる芝居はあっても、笑える芝居はなかなかない。連続殺人を描くブラックな物語だが、「笑い」の波長がピッタリ。

 新藤監督が2003年に90歳でメガホンを取った映画を元にした作品。

 舞台は1980年の夏。戦後入植した東北の「希望ケ丘開拓村」。国策に従い、満蒙開拓団として満州に渡ったものの、戦後命からがら引き揚げてきた村民たちは、田畑から家まですべて処分して大陸に渡ったため、自分の土地がない。再び国策により不毛の地を開拓していたが、入植して30数年、開拓民は次々と見切りをつけ、村を去った。最後に残ったのは37歳の母ユミエ(市川奈央子=ダブルキャスト)と17歳の娘エミコ(田渕真弓=ダブルキャスト)だけ。
 彼女たちはネズミを食い、木の根をしゃぶり、生き延びる。そして国家に復讐するがごとく次々と殺人、死体遺棄に手を染めていく。
 ダム工事の工事人夫・担当者、電線を引く電気屋、水道屋…。
 その手口は、母親が男たちを誘い、しとねを共にした後、娘が「最後のサービス」として毒入りスペシャルドリンクを飲ませ殺すというもの。

 事件後9体の白骨死体が見つかるわけだが、一幕は5人の男たちが女たちの手にかかる。
 二幕、大金を手にし母娘の計画がすべてがうまく運んだと思われたところにエミコの初恋の人・浩二(町屋圭祐)が戻ってきたことから、計画に狂いが…。

 プロローグの暗転芝居がやや野暮ったくて「大丈夫かいな」と思ったが、本編が始まったら、これがテンポよし、セリフの「間」も良しで笑いの連続。男たちが死んでいく場面は映画では「口から泡を吹いて死んだ」というが、舞台では、一言いまわの際のセリフを残して絶命する。この一言の「間」が絶妙。ドッと笑いが起きる。

 一幕は同じパターンで男たちが殺されていく様子を繰り返すのだが、少しずつ演出を変えていくので、これがまったく飽きさせない。逆に「次はどんな男が殺されるのか」と待ち構えてしまうほど。男をたぶらかすユミエの毒婦的演技が要になり、それを手伝うエミコと二人の色気と凄みが相まって、殺しのシーンがセクシャルなブラックユーモアを醸す。

 二幕になって、警察官やら、開拓を進めた役人の孫である福祉課長が登場、さらに浩二の出現で思わぬ展開になるのだが、もうここまで来れば、殺人云々よりも「人間」の業をみせつける「人間ドラマ」として圧倒的なリアリティ―が生まれている。

 このクライム・サスペンスの背景にあるのは国策によって満州に渡った農民の悲劇。ソ連が侵攻するや頼みの関東軍はいち早く開拓民を見捨てて逃走、命からがら日本に帰ると土地はなし。再び国策で開墾するも不毛の地。木の根をかじって生き延びるも、政府はダムだ、電気だと開拓村には見向きもしない。村は逃散。戦前戦後と国民を見捨てて恥じない国家とはなんぞや。
 生き残った母と娘が国家に報復しようとするのは当たり前。
 男たちの役職を見れば一目瞭然。彼らは国家の身代わりなのだ。

 母の着るワンピースは葬式のクジラ幕を裁断したもの。娘の衣装は開拓村の団旗を裁断したもの。
セクシーな衣装の裏には国と組織への恨みと怒りが込められている。
 ダブルキャストで、観た回は市川奈央子と田渕眞弓だったが、男たちを手玉に取りながらその内に悲しみと怒りをたぎらせる母娘を好演していた。
 ダブルキャストのもう一組も見たくなるのは、久しぶりの衝動。
 演出のダメ出しは北村が自ら演じて見せたとか。役者の生理は役者がよくわかる。浩二には「泣くのではなく怒りを」と。
 そう、この芝居の根底にあるのは「怒り」なのだ。

 アフタートークは新藤監督のお孫さんである新藤風さんゲスト。祖父と暮らし、看取り、自ら映画監督として活躍する風さん。新藤監督も後顧の憂いなく大往生したのではないか。
 23日まで。東武東上線大山駅5分のPIT昴。

 「ふくろう」のモデルである「戦後入植の開拓村」は青森県六ヶ所村か。
 懺悔する福祉課長が「青森から北海道にいく連絡船から身を投げたい…」というセリフもある。もちろん事件そのものはフィクションだろうけど。

 アフタートークは21時50分に終了、だれかと飲みたい気分だが、こんな日に限ってだれみおいないので家に帰ろうとしたら、人身事故の影響で北千住駅が大混乱。急行ストップなので、3階の各駅ホームに集中。ホームからひとがあふれるほど。

 帰宅し、明け方まで一人酒。高校時代の日記につい…。
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