梁塵日記

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zoom RSS 月蝕歌劇団「寺山修司 過激なる疾走」

<<   作成日時 : 2017/03/24 15:15   >>

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 19時、ザムザ阿佐谷で月蝕歌劇団「寺山修司 過激なる疾走」。今回で三演目か。

 平凡新書の同名書を基に、波乱に満ちた寺山修司の生涯を寺山初期の見世物芝居風に描いた作品。 
 青森・三沢での母子の日々から九條映子との結婚、母・妻の確執から阿佐谷・河北病院での死までを、寺山が尊敬し、生涯のライバルと目した10歳上の三島由紀夫の死の軌跡と対照させながら描いた。

 少年探偵団の明智探偵、小林少年、黒蜥蜴も登場。天井桟敷の「盲人書簡」をコラージュし、「書を捨てよ町へ出よう」「邪宗門」の劇中シーン、歌も織り込まれる。

 谷川俊太郎、田山(山田太一)、中井英夫、篠田正浩、美輪明宏、九條映子…。寺山修司に関わる人々が登場する。

 もちろん、高取詩劇=史劇。ネフローゼで入院中の学生時代の寺山の前に「ファウスト」のメフィストが現れ、やがて来る寺山の命の終わりを予言し、魂と引き換えに長生きする取り引きを持ちかけるが寺山は拒絶し、できることなら自分の命と引き換えに父・八郎の死を回避させたいと言うのだ。八郎は戦時中に南方セレベス島で戦病死している。寺山作品の中心の不在はこの八郎の不在なのかもしれない。
 ここで思わず涙腺が緩んでしまう。

 全共闘学生たちに取り囲まれた寺山が、運動に理解を示しながら、「(政治で変革できないものがある)天井桟敷の主目的は、政治を通さない日常の現実原則の革命である」と反駁するシーンにもつい涙。

 三島との対論で、寺山は、当時の新左翼が政治的言語と文学的言語を混同しているという。政治的な言葉でだめになったら文学的な言葉にすりかえてしまう、と言い、三島も「ぼくのいいたいこともそれですね」と賛同する。
 しかし、三島と寺山の違いは大きい。
 寺山は政治的言語と文学的言語の波打ち際をなくしていく、わけのわからない乱世にこそ面白味があるという。しかし、三島は、それでは文学も政治もダメになると反論する。
 それに対し、寺山は「両方ダメになってもいいんじゃないかっていう感じがあるんですよ」と言うのだ。
 三島と寺山の決定的な違いはこの寺山の「アナーキズム」にほかならない。

 寺山修司こそ真の意味のラジカリストだったと改めて思う。そこが私が寺山さんを好きな一番の理由だったのだ。「世界を破滅させるのは目を閉じるだけで十分」「百万人の名もなき人々の幻想こそが現実を転覆させる起爆剤になる」という寺山のアジテーション。しかし、近年、寺山像はセンチメンタリズムや懐古趣味に侵されて段々「ラジカル=過激」な寺山から後退しているように思える。

 舞台を観ながら涙を抑えることが出来なかったのはたぶん、そんな私の中の寺山を久しぶりに劇中で垣間見たからか。
 「季節を間違えた」と言われた三島の切腹シーンに桜の花びらを舞い散らせた高取の「やさしさ」。

 女優陣の中では母親を演じたしのはら実加が圧倒的。寺山の幼少期を演じた岬花音菜、青年期を演じた高田ゆか、壮年期を演じた白川沙夜。メフィストの倉敷あみ、三島役の城之碕リアン、そして三上ナミなど、レギュラー陣もいい。
 舞台のもうひとつの主役はJ.A.シーザーの音楽。「1970年8月」「桜暗黒方丈記」などを聴くと、体中の細胞がざわざわと蠢き始めるのだ。
 旗揚げ以来変わることのない月蝕歌劇団の演劇スタイルの必然性を感じた舞台でもあった。
 新高けい子さんをお誘いしたら「身毒丸」に続いて、観に来てくれた。
「シーザーも高取さんも頑張ってるんだね、えらいね」と新高さん。高橋咲さんと打ち上げに参加し、最後まで付き合ってくださった。九條さんにももう少し長生きしてほしかった。
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